高校を卒業して、とある会計事務所に入り、会社の監査や申告関係、決算書作成などの業務をやっておりました。そこを30代手前で退職し、それから一般企業の経理を10年位やっておりました。3年前位に、小野瀬・木下税理士法人 小野瀬公認会計士事務所で資産税関係の人員を募集していることを知りました。

正直、前に勤めていた会計事務所では資産税関係の業務はあまりやっておりませんでした。そもそも当時は相続税の基礎控除が5,000万円+相続人1人当たり1,000万円と大きかったため、ある程度の資産家でないと相続税申告の必要がなく、サポートのニーズが少なかったからです。それが今は基礎控除が3,000万円+相続人1人当たり600万円と引き下げられましたので、広い範囲の方が対象となるようになり、ニーズも高まっているだろうと思いました。そこで、あまり経験のある分野ではありませんでしたが、勉強しながらでもお役に立てればと思い入社いたしました。

どなたかが亡くなられたとして、まず相続人が誰と誰なのかを確定させなければなりません。依頼人の協力を得て戸籍関係を調べ、相続人を確定させます。次に、財産を確定させなければなりません。不動産・現預金・株・有価証券・動産などを調べて評価し、相続税の税額を出します。その上で相続人の方々に説明して、分割の仕方を決めていただく。それがまとまったら分割協議書に基づいた相続税申告書をつくり、相続税がどれくらいかかるかを相続人の方々に報告、納得していただければ相続税申告書を提出、相続人の方々には納税していただくという流れです。

被相続人の方が亡くなられてから10か月でこれらを全て行う必要があります。10か月は長いようで短いです。そもそも依頼そのものが亡くなってすぐではなく、四十九日が済んでからが多いので正味動けるのは8か月ほどです。大切な方を亡くして悲しみに暮れているご遺族様が、すぐに相続という現実への行動へ向かえないのは、当たり前のことだと思います。

そうした方々に、私たちは相続人や財産の確定から申告、相続登記（登記については提携する司法書士によりますが）までのワンストップサポートを提供しています。依頼としては、弊社のクライアントに多いお医者様の世代交代に伴うものが多いのですが、ネットなどで弊社のことを知り、依頼してくださるお客様もいます。最近だと、終活の一環として自分が亡くなったときに備える相談も増えてきました。

一番難しいのは、固定資産、土地の評価でしょう。固定資産税の課税明細書を基にして相続税評価を出すのですけれども、同じ面積でも形が悪いと減額になったり、交通機関の状況、例えば最近だとつくばエクスプレスの開業で評価が急に上がったり、登記上は宅地なのだけれど現地調査をすると荒地になっていたりと、奥が深いです。

あとは日程的なことでしょうか。亡くなられてから10か月とはいえ、あまりにギリギリになればお客様にご迷惑をおかけするので、半年後くらいに概算を出して申告書の提出が8～9か月くらいを目標にしていますが、案件が重なると難しいですね。

被相続人がお亡くなりになってから始まる仕事ですから、依頼人とは初対面のことが多いのです。その初対面でも信用・信頼してもらうことが何より大切です。私たちの仕事は書類上齟齬がないのは当たり前で、それ以前にその方のためにという想い、その人からの信頼がないと身動きがとれないのです。信用・信頼を勝ち取っていくために、様々な状況を経験し、様々なタイプのお客様に学ばせてもらい、という積み重ねを大切にしたいと思います。

担当したお客様に「K.Tさんが担当でよかった」と言っていただいたことがあります。努力を認めていただいた瞬間には、やはりやりがいを感じます。悲しみに沈むご遺族様にとって、時間の流れはとても早いと思います。葬儀から一周忌まではあっという間です。その中で依頼人の方々は相続という現実的なことに向き合わねばならないのです。私たちはそのときに頼れる味方で居続けたいと思っています。

真面目さ、そして人間性ですかね。信用・信頼してもらうことが何より大切ですから。
実は相続関連の仕事は、若い人にはちょっと厳しいのではないかと私は思っています。相続人の方々同士の人間関係がよく見えてしまう、それこそ見たくないような醜い部分まで。あと、初対面でよい人間関係を築くのは難しいことです。信用・信頼を勝ち取るにはやはり経験の積み重ねが必要なのです。

もちろん、若い人で相続関連の仕事をやりたいという方がいれば、いっしょにやって経験を積み重ねてもらおうと思います。その経験の中には相続関連の業務だけでなく監査などの通常の会計事務所の業務も含まれます。そうした経験をした後、相続や財産評価に行った方が伸びると思うからです。
真面目に仕事に取り組む方、経験を通して人間性を磨いていける方、ご応募を待っています。